死ぬ時は痛いのだろうか。
痛くて、辛くて、苦しくて、
情けなく感じたりするのだろうか、
その命は
小さな花が咲いて散るその儚さを惜しむ人
芽吹いて咲くことのなかった花を嘆く人
芽吹くことすらなかった花を私は胸に抱いている。
自らのその手で枯らせてしまう大輪の花
心無い人に摘み取られてしまう若い花
花々は簡単にその命を終えるのに、
どうしてこんなにも美しいのだろう。
君はそこで咲いて、その土だけしか知らない。
その光も、空気も、水も、そこだけの物だから。
花は誰のものでもなく
その土地の所有物ですらなく
ただ咲くことが生である。
つまり過剰な華々しさは必ずしも必要なく
愛とされるモノに縛られる必要もなく
強さや弱さを問われる必要もなく
ただ咲いているだけでいい。
光は遮られれば届かない。
水は淀めば濁り腐っていく。
息苦しい場所とはそういう場所だ。
誰もが同じ環境を生きているわけではない。
君はそこで生きて、その土だけしか知らなかった。
死ぬ時は痛いだろうか。
何かを感じるだろうか。
もしも叶うなら、その命を終える時、
花を愛でる私がいた事を感じてほしい。
その土も、水も、光も、
君には合わなかっただけだ。
もっと良い場所に私が連れて行けたらどんなによかっただろう。
ただ咲くことがこんなにも難しいことだなんて、
私が守ってあげられたらどんなに良かっただろう。
花は誰のものでもなく
その土地のしがらみなども関係なく
ただ咲くことが生なのだ。
存在しているだけで美しい奇跡
うまく生きられなくても、
綺麗に咲けなくても、
その命そのものが美しかった。
儚いその重さをそっと掬い上げて撫でると
私の指は神の跡を見る。
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