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所感

所感2---02.朧-PHALARIS/DIR EN GREY

 

死ぬ時は痛いのだろうか。

痛くて、辛くて、苦しくて、

情けなく感じたりするのだろうか、

その命は

 

小さな花が咲いて散るその儚さを惜しむ人

芽吹いて咲くことのなかった花を嘆く人

 

芽吹くことすらなかった花を私は胸に抱いている。

 

自らのその手で枯らせてしまう大輪の花

心無い人に摘み取られてしまう若い花

 

花々は簡単にその命を終えるのに、

どうしてこんなにも美しいのだろう。

 

君はそこで咲いて、その土だけしか知らない。

その光も、空気も、水も、そこだけの物だから。

 

花は誰のものでもなく

その土地の所有物ですらなく

ただ咲くことが生である。

 

つまり過剰な華々しさは必ずしも必要なく

愛とされるモノに縛られる必要もなく

強さや弱さを問われる必要もなく

ただ咲いているだけでいい。

 

光は遮られれば届かない。

水は淀めば濁り腐っていく。

息苦しい場所とはそういう場所だ。

誰もが同じ環境を生きているわけではない。

 

君はそこで生きて、その土だけしか知らなかった。

 

死ぬ時は痛いだろうか。

何かを感じるだろうか。

もしも叶うなら、その命を終える時、

花を愛でる私がいた事を感じてほしい。

 

その土も、水も、光も、

君には合わなかっただけだ。

 

もっと良い場所に私が連れて行けたらどんなによかっただろう。

ただ咲くことがこんなにも難しいことだなんて、

私が守ってあげられたらどんなに良かっただろう。

 

花は誰のものでもなく

その土地のしがらみなども関係なく

ただ咲くことが生なのだ。

 

存在しているだけで美しい奇跡

 

うまく生きられなくても、

綺麗に咲けなくても、

その命そのものが美しかった。

 

儚いその重さをそっと掬い上げて撫でると

私の指は神の跡を見る。

 

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所感1---01.Schadenfreude-PHALARIS/DIR EN GREY

 

様々な色をした君よ 君達よ

一人一人紐解けば

ひとつひとつ解き明かせば

なんて事はない。

 

一粒のラメのように輝く君の人生なのに

なぜ周りに埋もれてしまうのか。

なぜ君は、他者の色に混ざって醜くなってしまうのか。

 

誰かが作り出した義憤がそんなにも心地好いのだろうか。

他者から借りた怒りで、他者と同調するだけの持論で、

享楽に耽る事ができるというのか。

 

あなたの怒りを孕んだ正論は何の為にあるのだろう。

感情を押し殺したつもりで、

努めて冷静に、そして身勝手に責め立てる。

 

それが楽しいのだろうか。

私はあなたが優しく笑っている時が楽しかった。

幸せだった。

だから私も正論をぶつける。

 

虚しい

 

どちらがより正しいかではない。

後出しした方が勝つのだ。

 

虚しくて苦しい

 

それまで必要はなかったのだから、正しさなんて持ち込んではいけなかった。

 

私たちはお互いの欠けた部分を許しあって、足りない部分を補い合って、

ただ楽しく笑っていた。

そう感じていたのは私だけだったようだ。

 

あなたがくれた言葉も、優しさも、

あなたという人格も、そこに触れた時の感触も

 

全てが終わってしまった

 

あなたの中で浸る悦楽を

あなたのその空気を

私はその全てを愛していた。

 

 

様々な色で降り積もる君よ 君達よ

間に合わせで集めただけの馴染まない色で、

滲むこともできず、溶け合う事もなく

ただ醜いだけの利害関係

 

頭の中で行き場を無くしたゴミを燃やしている。

捨てたのは誰でもない君自身なのに、君はさも誰かに汚されたかのように排除したがる。

君は他者のせいで君が怒っていると信じ込んでいる。

 

その道は地獄

行くも地獄、帰るも地獄

 

あなたはあなたを傷つけながら、かつて愛していた人を責め立てる。

 

なぜ君は、有象無象の色に混ざって醜くなってしまうのだろう。

一粒のラメのように輝く君の人生なのに

 

それを私は透明な箱にしまって、いつまでも飽くることなく眺めていたかった。

角度を変え、光を変えて、輝き続けるあなたを

いつまでも眺めていたかった。

 

君の人生はどれだけ不幸であったとしても、

どれだけ辛く感じていたとしても

はたまた平凡で退屈だったとしても

私にはとても眩しくて、美しくて愛おしい。

 

君の悲しみも喜びも、その思い悩む姿も、

まるで削り出して磨いたように輝いていた。

私はくちびるで柔らかく何度も拭う。

痛くしないように、傷つけないように、何度も拭う。

 

それなのに他者の色に呑み込まれて、醜く塗り潰されて

あなたは快楽を得られるというのか

本当にそれで気持ち好くなれたのだろうか

 

あなたが今なお居座っているその場所は、

かつて私たちが何気なく立っていた場所で、

そこにあなたは這い蹲って無様に体液を撒き散らしている。

 

せめて私がとどめを刺そう。

曇りのない鏡で、色のない眼鏡で

あなたの今を見せてあげる。

恥ずべきあなたのその姿を

 

私の愛しいあなたはあなた自身が穢したのだ。

そして私は、惨めにも、その残滓に涙を混ぜて愛し続けてしまう。

 

 
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